相続登記義務化についてのよくある質問(誤解)

こんにちは。山口市役所そばで司法書士をしている山本崇です。今日は天気もいいですし、桜も満開ですから、事務所にこもっていないで外に出たいところですが、やらないといけない事があるので、事務所で事務作業です。そんな中でのブログ更新です。

今年になってから初めてのブログですね。今年の1月14日に山口市の菜香亭で、事務所単独の相続セミナーを開催しました。相続登記義務化もいよいよ1年後からスタートするとあって、みなさん、相続登記についていろいろ気にされておられるようです。当日も私が約1時間くらい話した後で、たくさん質問をいただきました。

その時の質問や普段事務所に来られる方から受ける質問で、みなさんが誤解されているというか疑問に思われていることがあるようなので、ここでお答えしておきます。
まず、一番多い質問が、来年4月になったらすぐに相続登記をしないといけないのかという質問です。これに関しましては明確にノー、つまりすぐにやらないといけないものではないと回答いたします。そもそも、ある方が亡くなられて、その方が不動産をお持ちだったとしても、相続人の方は相続をするかそれとも相続放棄をするか選択することができます。例えば、不動産以外に多くの預貯金が遺産としてある場合は、ほとんどの方が相続されるでしょう。その一方で亡くなられた方が不動産をお持ちだったけど、たくさんの借金を抱えていた方の場合でしたら、相続人の方によっては相続したくないと思われる方もおられるかもしれません。相続すると不動産だけでなく借金も相続することになりますから。そういう場合は、相続放棄をすることができ、ある方が亡くなられて自分がその方の相続人であることを知ってから3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをします。つまりその3か月間は相続しているか、していないかはっきりしない期間(熟慮期間といいます)が3か月あるわけです。ところが、相続登記が義務化されてるからと慌てて遺産分割協議書を作って押印してしまうと、熟慮期間中であっても相続放棄ができなくなる可能性があります。ですので、不動産をお持ちだった方が亡くなられてから少なくとも3か月間は相続登記をしなくても何ら問題となることはありません。かといって、相続登記が義務化されてからは、いつまでも相続登記をしなくてもいいわけではなく、不動産をお持ちだった方が亡くなられて3年以内に手続きをしなければならないと決まっています。3年も経てば相続放棄をするかしないか、もう決まっていますし、相続人の間でもどういう風に遺産を分配するか決まっているでしょうから、3年以内には相続登記をしてくださいねとなっているわけです。

続いてよくある質問が、3年が過ぎるとすぐに罰則(最高で10万円の過料)が科せられるのだろうかというものです。これについても明確にノーとお答えいたします。相続登記が義務化される来年4月1日までに法務局では、不動産の名義人さんが亡くなっていないかどうか調べることができるように法改正されました。法務局がある不動産の所有者さんの戸籍などの情報を照会して3年以上前に亡くなっていることを把握した場合、法務局としては相続人の方にいきなり罰則を適用するのではなく、早く相続登記をしてくださいと郵便で催告します。その催告を受けたにも関わらず、相続人の方がいつまでたっても登記をしないと、いよいよ罰則が適用されることになります。催告を受けてからどれくらいの期間猶予があるかは、まだ制度が開始していないので何とも言えませんが、半年から1年程度ではないかと思います。ただ、これは何の根拠もない私の想像なので、催告を受けたら速やかに相続登記をされるべきです。

ちなみに、罰則が適用される場合は、法務局から直接、相続人のもとへ連絡がいくのではなく、3年以上経過しても相続登記をせず、法務局が催告しても全然手続きしない場合、法務局が裁判所へその旨の通知をし、その裁判所の裁判官が、過料を科すべきかどうか、科す場合はどれくらいの金額が妥当かを判断して、裁判所から相続人のもとへ連絡がいきます。裁判所から郵便が届くとちょっと驚きますので、くれぐれもそういうことにならないように早めに相続の手続きをされることをお勧めします。

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