相続放棄と遺産分割協議

こんにちは。
4月3日に育休から復帰しました事務員の平野です!
昨年の2月1日から産休・育休を取得しておりました。
お休みを取っていた期間は1年2か月ほどなのですが、人生観の変わるような出来事の連続で濃い時間を過ごすことができました。
初めて出生届というものを市役所に提出し、戸籍に息子の名前が載ったときは感動しました。仕事柄、人様の戸籍に触れさせていただく事が多いのですが、今回息子の名前が戸籍に載ったのを見て、戸籍に載っている一人一人に色んなドラマがあるのだなということを改めて認識しました。

話は変わりますが、今回は事務所代表の山本からテーマを指示されましたので、「相続放棄」と「遺産分割」の違いについて語っていこうかなと思います!

みなさんが相続放棄をしたいとなった場合、何をしたらいいかご存じですか?自分以外に相続人がいる方なんかですと、遺産分割協議をして、財産を全く相続しなければいい!それが相続放棄だ、と思ってらっしゃったりはしないでしょうか?実は、遺産分割協議をして財産を全く相続しない場合でも、法律上は相続放棄したことにはならないのです。
まずそもそもですが、相続放棄は民法938条から940条に規定されており、それに従って手続きをする必要があります。そして、正式に相続放棄をすると、相続放棄をした人は初めから相続人ではないとみなされます。被相続人(亡くなった方)の権利義務を一切引き継がない(相続しない)というわけです(場合によっては、管理義務が発生する場合がありますが、令和3年の民法改正でその管理義務の内容もかなり軽減されました)。

一方、遺産分割協議で一切財産を相続しないとなった場合は、相続放棄とは違い、その人は相続人であるということには変わりありません。ですので、亡くなった方が借金などの負債を抱えていた場合は、その負債を相続してしまう可能性があるので注意が必要です。それは、遺産分割協議の中で、借金は相続人のうちAのみが相続し、B及びCは借金を相続しないという内容で話がまとまったとしても同じで、亡くなった方の借金つまり負債は、いくら遺産分割協議で相続人全員の合意ができたとしても、債権者はすべての相続人(相続放棄した人は含まれません)に対して、それぞれの法定相続割合に従って請求することができるのです。この点が、相続放棄と遺産分割協議の大きな違いです。そして、遺産分割協議において亡くなった方の財産を一切引き継がないことを相続放棄であると考えていらっしゃる方も少なくありませんが、相続放棄と遺産分割協議は、それぞれを規定しているのは同じ民法なのですが、根拠条文がまったく違いますし、法律上の効果も大きく異なっていますので、注意が必要です。

それでは、上記の説明を受けて、ここで、相続放棄と遺産分割についてそれぞれの注意点を上げていこうと思います。

<相続放棄>
① 「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」の期間内にする必要がある(この期間のことを熟慮期間といいます)。→3ヵ月は結構短いと思うのは私だけじゃないはず。
② 家庭裁判所での手続きを取らないと相続放棄したことにならない。

<遺産分割>
① 相続人全員で遺産分割協議を行う必要がある。相続人全員が一同に会して話し合う必要は必ずしもないですが、認知症などで判断能力が欠如していたり、著しく判断能力が低下している相続人の方がいる場合は、家庭裁判所で、その相続人のために後見開始の審判を受けないと遺産分割協議ができない。
② 相続人としての地位は失わない(遺産分割協議で財産を一切承継しないと決めた場合でも)。なので、後から亡くなった方が、他にも財産を持っていたことが分かった場合は、その財産について引き継ぐこともできる。

遺産分割については、期間制限はありませんし、家庭裁判所での手続きは一切不要です。ただし、今回の民法改正に伴い、ある方が亡くなった場合に、その相続人の方が10年以内に遺産分割協議をまとめなかったときは、遺産分割協議の内容に一定の制限を受けることがありますが。

皆さんがどのように相続手続きを進めたいかによって、遺産分割をするのか、相続放棄をするのか選んでいたければと思います。が、くれぐれも相続放棄の熟慮期間(原則3か月)にはお気を付けください!

以上、職場復帰した平野による説明でした。分かりづらいところなどがあれば、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
そして、これからもどんどん仕事に役立つ知識を身に着けて頑張っていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

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