自宅の前が私道のとき

こんにちは。山口市役所の近くで司法書士をしている山本です。

日本は島国に1億2千万人の人がひしめき合って住んでいるので、アメリカやヨーロッパのような広い敷地のある家はどちらかというと少ないのですが、それでも限られたところに家が建っています。ですから私たちも生活していけるのですが。

家があるということはそこで暮らす人がいる訳で、人がいるということは、その人たちがほかの場所に行き来するための道路が必要になります。道路というと、国道や県道、市道などの公道を思いがちですが、日本中にある道路のすべてが公道であるわけではないです。みなさんが何気なく通っている道路が実は「私道」である場合もあります。「私道」というのは簡単に言うと国や自治体が所有者ではなくて、一般の方が所有者ではあるけれども道路として使われている道路です。一般個人が所有しているところですから、道路とはいえ所有者に断りなく通行することは本来ならできないのですが、実際に道路として使われている部分ですから基本的にはその私道の所有者は他人が通行することを黙認しいるなどして通常は私道の通行について近隣住民と揉めるようなことはありません。

ただし、ご自分の所有している家やその敷地が他人の私道にしか接していなくて、ご自身の敷地から直接公道へ出ることができないときは要注意です。現時点ではその私道を所有している方も他人が自分の私道を通行することを黙認しているので問題となることはありませんが、例えば、直接公道まで出ることのできない土地とそこに建っている建物を売ろうとした場合は、不動産屋さんから私道部分に他人(例えば売主さんや買主さん)が通行するための権利をつけてくださいと言われます。何しろ他人の土地を通らないとたどり着けない不動産については不動産屋としては売り物件としての評価ができないために扱うことができないからです。また、他人の私道にしか接していない不動産を売るつもりはなくても、そこにある家を取り壊して再築するときに銀行から融資を受けようとしても、融資の審査に通らない場合がほとんどです。

ですから、自分が持っている不動産が公道に接していない場合は、公道に至るまでの私道部分が自分の名義であるかどうかを確認する必要があります。公道まで延びている自分名義の私道があればいいのですが、それがない場合は、他人名義の私道に自分の通行を認めるための権利をつける必要があります。

その時の権利のつけ方としては主に2種類あり、1つは他人名義の私道の一部を自分が譲り受けることです。こうすると、その私道部分は、例えば元々の持主Aさんが100分の99の持分で、ご自身であるBさんが100分の1の持分を持つ共有地となります。わずか100分の1であっても自分の名義が共有者として登記簿に載っていれば堂々とその道路部分を通行することができるのです。
もう一つのやり方は、地役権というものを私道部分につける方法です。地役権というのは簡単に言うと他人の土地を自分の土地のために利用するための権利です。通行のためであったり、眺望を確保するためであったり、他人の土地の上に電線などを引くためであったりいろいろな用途のために地役権をつけることができます。
このようにすれば、不動産屋さんとしても買主さんを探すことができますし、銀行の融資審査も問題なく通ることになります。

この2つのやり方のどちらがいいかは、その時々の状況によるために一概にこちらのほうがいいと言うことできません。もし、ご自分の家の敷地が直接公道にまでつながっていない場合は、お近くの専門家に一度お問い合わせされることをお勧めいたします。

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