ダンテ『神曲』

こんにちは。山口市中河原町の司法書士山本崇です。

去年はとにかく自粛の1年でした。観光業や飲食業みたいに直接的に大きな影響はなかったものの、やはり営業などについては自粛せざるを得ず、思うような活動ができませんでした。これは他の業種の方も同じでしょう。まったく影響を受けずにいつも通りに1年間を過ごせたという人はいないのではないでしょうか。研修やセミナー、各種団体の例会等も会場に集まって行うというスタイルを避け、Web上で行うというところが多かったようです。

そんな中、状況が似ているからか、20世紀のフランス人作家アルベール・カミュの『ペスト』の文庫本の売れ行きが好調だそうです。書店で平積みされているのを目にされた方も少なくないのでは?カミュについては私が大学の時の卒業論文で扱った作家です。まさしく彼の『ペスト』の作品論で卒論を仕上げました。その後大学院進学後もカミュを中心に研究を続けていたのですが。なるほど人々がこの作品を読みたくなる気持ちも分かりますね。ですが、私はへそ曲がりなのでしょう、昨年は『ペスト』を再読したい気持ちにはまったくならずに、なぜかダンテの『新曲』を買ってむさぼり読みました。最初はボッカチオ(ボッカッチョ)の『デカメロン』を買って読み始めていたのですが、どうもボッカチオは少なからずダンテの影響を受けていたということが分かり、そうするとダンテも読んでみたい。そもそも、イタリア・ルネサンスの名作を今まで一度も読んだことがないというのが非常にもったいないような気がして、『デカメロン』を読み終えてからさっそく購入して読み始めました。

原書で読めればいいのでしょうが、残念ながら私にはそのような能力もないので、日本語訳を読んだのですが、これが非常に面白かった。地獄、煉獄、天国の様子について描かれており、ダンテの表現力に感服しました。さすがイタリア・ルネサンスの天才だと。最初、ダンテがウェルギリウスと一緒に地獄めぐりをするという構成も非常に興味深かったですね。やはり名作として後世に語り継がれるような作品は違うなあと感心しました。もう少し豊かな表現力でこのあたりの事をお伝えできればいいのですが、何しろ私は語彙力がとても乏しいので、それも難しいです。もし、興味があればぜひ実際の作品を読んでみてください。ちなみに、『デカメロン』は当時ヨーロッパで流行した黒死病=ペストを避けて郊外の別荘に若い男女10人が避難するというところから話が始まっていますが、『新曲』はそうした疫病とは基本的に関係ありませんので念のため。その代わり当時のイタリア、とくにフィレンツェの様子を垣間見ることができて興味深いです。

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