財産区とは

こんばんは。さくらばたけ事務所の司法書士山本崇です。今日はちょっと余裕がある一日でしたので、2回目の投稿です。

少し前に財産区というものについて知る機会があったので、書いてみます。みなさんは地方公共団体という言葉をご存じでしょうか。地方公共団体=地方自治体というイメージがあるのではないでしょうか。ですので、地方公共団体とは、簡単に言えば都道府県や市町村のことになります。ただ、厳密に言えば地方公共団体というのは普通地方公共団体と特別地方公共団体との2種類に分かれます。都道府県や市町村は普通地方公共団体に分類されます。では、特別地方公共団体というのはどういったものかというと、一番分かりやすいのが、東京都の23区です。千代田区や新宿区などは特別区といい、特別地方公共団体の一種です。ですので、都道府県や市町村とは違う原理で運営されています。たとえば戦後間もないころは東京23区の区長は公選制ではありませんでした。特別地方公共団体であるからそういう扱いができたのでしょう。ちなみに、現在の特別区の区長は公選制となっていますね。

他に特別地方公共団体にはどういったものがあるかというと財産区です。財産区については以前行政書士試験の勉強をしているときに知ったのですが、地方公共団体の一種で議会があるらしいということは分かっていました。ただ、私の身近に財産区がなく具体的にイメージできていませんでした。そうしたところ、昨年11月に市内の木戸山公園清掃に参加したときに宮野財産区の議員の方からお話を聞くことがあり、ぐっと身近になりました。

一言でいうと、地方にある公共の財産に法人格を持たせたものが財産区です。例えば一般の法人については、複数の人が集まって法人格を持たせたものが一般社団法人、人々が財産を拠出してその財産に法人格を持たせたものが一般財団法人で、それらの自治体版が都道府県、市町村と財産区ということになります。私は山口市の宮野地区に住んでいるのですが、宮野地区には宮野財産区というものがあります。調べてみると山口市内にある唯一の財産区のようです。で、宮野財産区とは、かつて山口市と宮野村が合併するときに宮野村の村有林を財産区として独立させて地方公共団体として存続させたものらしいです。宮野財産区の林などから出る伐採に伴う利益は宮野地区の利益のために用いるとなっており、宮野財産区に関する条例まであります。具体的には宮野小学校の建築費などに利用されたようで、もしかしたら小学校の校舎などの建材にも使われたかも知れません。

山口市と宮野村が合併したのは1941年だそうですが、令和の今の時代にも当時の宮野村の財産が残っていて、それが地元の人々の手で維持管理されていることにとても感動しました。

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