相続分のないことの証明書

こんにちは。山口市役所近くで司法書士をしております山本崇です。今日はずいぶんと蒸し暑い日でした。最高気温自体は30度くらいだったようなので、それほどでもないのでしょうけど、とにかく湿度がすごくて不快指数もずいぶんと高かったのではないでしょうか。

さて、先日相続の手続きでご相談に来られた方がいらっしゃいました。登記簿や相続関係説明図(亡くなった方を中心とした家系図のようなもの、法定相続人が全員分かります)をご持参なさってたので確認してみると、明治時代の方の登記がそのまま残っています。これはずいぶんと大変になりそうだなあと思っていると、他に相続分のないことの証明書もお持ちでした。確認してみると明治時代の方の法定相続人のほとんど全員からいただいているようです。あと1人だけその証明書がない方がいらっしゃるので、その方からは委任状をいただきその方お一人がすべての不動産を取得するという相続登記が可能です。

この相続分のないことの証明書というのは、亡くなった方が生前、相続人の方に財産を贈与したりなどしている場合に相続人の方が自己証明として書くものです。亡くなった方がそういった生前贈与をしていなければ当然もらえただけの財産を生前にもらっているので、自分はもうこれ以上相続分はないですよといった事が書かれています。それに実印を押して印鑑証明書をつけていればその人は遺産分割協議に参加することがなく、それ以外の方だけで遺産分割協議が可能です。今回どういった事情で1人の方以外の全員がこの証明書を書いているのかは不明ですが、これだと証明書を書いた方がもしその後亡くなった場合でも、その子どもが2次相続することはないので遺産分割協議をまとめるのに時間がかかりそうなときに万一に備えて、財産を相続するつもりのない方に2時相続の発生を防ぐという予防的な意味合いでこの証明書を書いてもらったのではないかと推測しています。そのやり方もどうかとは思いますが。

いま法務省がやっている長期相続登記等未了土地の解消作業でもこの証明書がふんだんに利用されているような気がします。私自身、なるほど、こういう利用方法もあるなと感心しました。まあ、私はあまり利用したいとは思いませんが。

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