不動産登記に印鑑証明書を添付する場合について

みなさん、おはようございます。山口市中河原町の司法書士さくらばたけ事務所の司法書士山本崇です。
昨日までは少し天気が悪くて雨が落ちてるときもありましたが、今日は朝から快晴で秋らしい一日となりそうです。また、山口市のきらら浜で行われている山口ゆめ花博は、今日、入場者数が当初目標の50万人を突破しそうです。花博はあと1か月弱の開催期間があるので、今後いい天気が続けばもしかしたら最終入場者数100万人も夢ではないかも知れません。

さて余談はこのくらいにしておいて、本題に入りたいと思います。今回も前回に続いて登記官による間違いについてです。

不動産登記を申請する場合、申請人の印鑑証明書を添付書面として法務局に提出することが多いのですが、これには一定の原則があります。印鑑証明書を提出する必要があるのは①登記の申請人が義務者になる場合で、なおかつ②その義務者が不動産の所有者であるときになります。

①についてですが、基本的に登記申請人で権利者になる場合、その方の印鑑証明書を提出することはありません。あくまでも申請人が義務者である場合のみです。
②については、義務者となる場合であっても、その申請人が登記の対象となる不動産の所有者でない場合は印鑑証明書は不要です。

たとえば、住宅ローンを完済した場合、抵当権の抹消登記を申請します。抵当権の抹消登記においては、抹消される抵当権の名義人である金融機関が登記義務者となり、自己の不動産に抵当権を設定していた人が登記権利者となって共同で登記申請をすることになります。しかし、この場合登記義務者となる金融機関は抵当権を設定していた不動産の所有者ではないため、金融機関の印鑑証明書は不要です。住宅ローンを払い終えた場合、金融機関から抵当権抹消に必要な書類が送られてきますが、その中には印鑑証明書は入っていないはずです。

この原則に基づいて、少し前に私の知り合いが経験した登記申請について書いてみます。京都で司法書士事務所の補助者をしている知り合いがいるのですが、根抵当権の債務者の変更登記を申請することになったそうです。それまで、根抵当権の債務者がAとBの二人であったのをA一人のみにするというものです。この場合債務を負担する人が減るので根抵当権者にとって不利となり、結果、根抵当権者を登記義務者、根抵当権を自己の不動産に設定している人が登記権利者となって共同で申請します。根抵当権者は登記義務者ですが、不動産の所有者ではないので(不動産の所有者は登記権利者の方)、原則から考えると印鑑証明書は不要です。

そこでこの知り合いは、印鑑証明書を添付することなく、根抵当権の債務者変更登記を申請したそうですが、すぐに法務局から連絡があり、登記義務者である根抵当権者の印鑑証明書が必要ですと言われたそうです。それで、びっくりして私のところに連絡してきて(本来なら自分の事務所のボスとかに聞いた方がいいんでしょうが、聞きづらかったのでしょうか?)、印鑑証明書が必要って言われたけどどうしようって相談されました。で、私の方で少し調べて、不動産登記規則48条、47条により印鑑証明書は不要なはずと法務局に問い合わせるよう伝えました。そうすると登記官の方でも調べ直したようでやはり印鑑証明書は不要でしたと自身のミスを認めたそうです。

私たち司法書士にとってはどういう場合に印鑑証明書が必要か不要かっていうのは、どちらかというと基本中の基本なのですが、そういう基本的なところでも登記官は間違えることがあるんですね。ちょっとお粗末だなあと呆れました。

ちなみに、この登記申請において、登記義務者が登記識別情報あるいは登記済証を提供することなく登記申請する場合は印鑑証明書が必要となる例外規定があるのでご注意ください。

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