清算された会社の登記

こんにちは。山口市中河原町の司法書士山本崇です。最近は晴れた日だと昼間は割と暖かいのですが、それでも朝晩は氷点下の冷え込みになる日が多くて寒暖の差に身体がついていけないように思います。私の子どもが通う小学校では、児童本人でなくて家族に風邪の症状があるだけで児童本人の登校を見合わせるように言われており、今の時期はうっかり風邪を引くだけでも大変になります。十分に気をつけようと思います。さて、最近仕事以外の書き込みばかりだったので今回は仕事がらみの内容で書いてみます。

不動産の登記簿(登記事項証明書)を見ていると、たまにすでに清算された会社名義の権利がいまだについているときがあります。例えば土地の所有権の持ち分や抵当権者、地上権者が清算された会社や法人名義であったりとか。よく目にするのは戦前に設定された抵当権の権利者が、〇〇農業会であるとか無限責任〇〇信用購買販売利用組合であるとかです。これらの法人は戦前あるいは戦後すぐに解散されているため法人の代表者(会社でいうところの社長にあたる人)がおりませんので、たとえ債務者が債権を弁済し終わっていても、このままでは抵当権抹消の登記ができません。また、ここまで古いものでなくても、事業活動を終えて解散し、財産を清算し終わった会社や法人についても代表者にあたる清算人がいませんから、やはりこれらの名義の権利を抹消する手続きは取れません。

とはいえ、自分の土地などにこうした清算が終わった会社などの抵当権などがついていると、その土地を誰かに売ったり、その土地を抵当に入れて金融機関から融資を受けることができなくなりますので、消せるのであれば消しておきたいところです。実際そういう相談はちょくちょくいただきます。

まず、会社や法人の代表者がおりませんので、代表者たる清算人を選任しなくてはなりません。そうした会社についての清算人の選任は基本的に地方裁判所が行いますので、清算人選任申立てを会社の本店があった場所を管轄する地方裁判所に行います。ただ、〇〇信用販売購買組合などについては戦前に解散されていたりすると、解散当時の法律が適用され清算人の選任権者が都道府県知事となりますので、裁判所ではなくて都道府県知事宛てに申し立てを行うことになります。また、破産手続きを経ている会社などの清算人を選任するときは、抵当権や地上権を抹消する手続きを取るにあたり代価を受けるのかいなかについて裁判所からいろいろ言われたりしますので、結構気を使います。それらの残存している財産を破産手続き中にきちんと換価していれば破産した会社の債権者により多くの配当が渡った可能性があるわけですからね。このあたりのことは抵当権や地上権を抹消することで利益を受ける人(登記権利者など)や裁判所書記官などとよく打ち合わせをしておいたほうがいいということになります。

無事に清算人が選任されたら、その清算人と登記権利者(だいたいの場合は依頼者であることが多いです)との間で、通常通りの共同申請により抹消登記、場合によっては移転登記や一部移転登記を行うことになります。おおむね1か月程度かかると考えておくといいかと思いますが、東京や大阪などであればもっと時間がかかると思います。

古い抵当権の権利者が個人であれば供託手続きを取って簡便に抵当権抹消ができるのですが、法人であるときはかなりややこしいです。また法人の種類によって実際にとる手続きは千差万別で、すべての会社法人についてこのやり方で片付くわけでもありません。ただ、上記の手続き以外が必要になるような会社法人についてのご相談は非常にまれですので、まああまり気にされなくてもいいかと思います。また、東京や大阪など土地の値段が高く頻繁に取引がされるような地域だと、ずっと以前に清算された会社の権利がいつまでも残っているということはほとんどないので、山口などの地方特有の手続きかも知れません。

もし、気になられる方がおられれば、参考にされてください。

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