ローン返済中の不動産は贈与できない?

こんにちは。山口市役所近くで司法書士をやっている山本崇です。今回、あるお客様から自分の不動産を特定のお子様に生前贈与されたいという相談を受けました。

そのお客様には現在配偶者の方とお子様お二人がいらっしゃるとのこと。相続を待って手続きをするとなるとその時の相続人(配偶者、お子様お二人の合計3人)が合意しないと、特定のお子様一人に不動産を相続させることはできません。ですので、生前での贈与手続きを考えられたようです。生前贈与ですと、贈る側と受ける側がお互いに納得すれば、ほかの方の意思は必要ありませんから。ただ、調べてみるとその対象の不動産には金融機関の住宅ローンが残っており、そのための抵当権がついていました。抵当権がついていると、ローンを返済するまでは勝手に不動産を贈与することができません。売ることもできません。贈与や売買をするまでにすべてローンを返済する必要があります。かといってローンの残債を全額繰り上げ返済するのは難しいとのことでした。ですので、今回は生前での贈与はあきらめるしかありません。

そのかわり、生前贈与はできませんが、遺言書を作成するという方法がありますよとアドバイスいたしました。遺言書は贈与と違って、結局遺言者が亡くなるまではその遺言の内容が実現できないのですが、それでも遺言書があれば、残された相続人の方がその遺言の内容にたとえ納得できていなくても、遺言の内容を確実に実現できます。たとえば、複数の相続人がいる場合に、そのうちの1人にだけすべての遺産を相続させるという内容でも構わないのです。

いろいろな理由で相続を待つのではなく、生前贈与などの形で対策したいと考えられても、ローンなどの問題でそれが難しいという場合は、遺言書を作成することを考えてみてください。なお、遺言書については公証役場で作成する公正証書遺言がおすすめです。

PAGE TOP