長期間相続登記未了土地の相続手続きをした時の話

こんにちは。山口市役所ちかくの司法書士山本崇です。今回は、実際にご依頼を受けて長期間相続登記未了土地となっている土地について相続登記をした時の話です。

長期間相続登記未了土地となっている場合、その時の登記簿に長期間相続登記未了である旨の付記がされており、そこに作成番号が書かれています。この作成番号は事前に法務局が現在の登記簿上の所有者(といっても何十年も前の方、場合によっては明治時代だったりします)の戸籍を集めて、その相続人全員を網羅した法定相続人情報(家系図のようなもの)を作ったときの作成番号です。1種類の法定相続人情報に1つの作成番号が付されるので、この番号さえあれば、法定相続人情報が特定できます。この作成番号を法務局に知らせると、登記簿上の所有者の相続関係の一覧図(法定相続人情報・家系図)がもらえます。相続手続きには戸籍が必要となりますが、法定相続人情報が作成されているときは戸籍を法務局が保管しているので戸籍を集める必要はありません。

あるとき、関東に住む方から、あなたの土地が長期間相続登記がされていないので早めに登記をしてくださいと、山口の法務局から郵便が届いたそうです。それで私のところにご依頼がありました。相続人の数かかなり多くなったので遺産分割協議書を集めるのがかなり大変でしたが、戸籍を集めなくてもいいので、そういう意味ではわりとやりやすかったです。また、いろいろ調べていくうちに、このご依頼者のご先祖様名義の土地でも、長期間相続登記未了である旨の付記がされているものとされていないものとがありました。とはいえ、当然ながら、いずれにしても戸籍を集める必要はないとおもい、戸籍を集める代わりに法務局が作成した法定相続人情報をつけて登記をしました。

すると、しばらくすると法務局から電話がかかってきて、戸籍が全然ないのですが?というお問い合わせ。いやいや、法定相続人情報とその作成番号を登記申請書につけているから戸籍は必要ないはずですよ、そもそも戸籍はそちらの法務局に保管されているでしょう!と伝えると、ちょっと上司と相談しますと言われて電話が切れました。それからしばらくするとまた同じ方から電話がかかってきて「ごめん、ごめん。戸籍は必要なかったね。よくしってましたね~」と感心したような感じで言われてしまいました。法務局自身がこういう制度をつくってるのに、その運用をの仕方を把握していないということに正直愕然としました。それだけ、利用されていない制度なのでしょうか。たしかに、長期相続登記未了土地の相続手続きをお願いされたのは今回私自身初めてではありましたが。

令和6年(2024年)4月からは相続登記が義務化されますから、今一度ご自身のご先祖様の土地を調べなおしてはいかかでしょうか。相続手続きを済ませたはずが、実はまだだったということもあるかもしれません。

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