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権利証等を紛失した場合の公証人による本人確認制度
こんにちは。久しぶりのブログ更新にします。
ずっと以前のブログのなかで、土地建物の権利証(登記済証あるいは登記識別情報)を紛失した場合の手続きについて説明したと思います。不動産を売ったり、不動産を担保に入れてお金を借りるときは原則として権利証が必要となりますが、権利証を亡くしたからと言って一切売ったり担保に入れたりできなくなるかというとそういうわけではありません。以前も説明したとおり、この場合は①事前通知制度による方法、②資格者代理人(司法書士など)による本人確認情報の提供による方法、③公証人の本人確認による方法の3つの方法があります。
このうち①による方法は、基本抵当権の設定が絡んでいたりして金融機関が手続きにかかわるときは、執ることができません。今回はその詳細な理由については省きます。②と③の方法はどんな場合でも可能でオールマイティなものです。ただ、私の感覚からすると②の方法はよく利用されているのに対して、③による方法はほとんど利用されていません。理由はよく分かりませんが、登記手続きを司法書士にお願いしているのに別に公証人に手続きをお願いしないといけないのが煩雑だからなのではないかと思います。
私自身最近まで公証人の本人確認を経た登記委任状を使用しての登記手続きはやったことがありませんでした。ただ、今年の7月に権利証を紛失したお客様が不動産を売るときに公証人の本人確認手続きでやりたいとおっしゃられるので初めてこの方法をやりました。公証役場での手続きですから、本来私のほうでやり方を調べてお客様に説明する必要はない(お客様自身で公証役場に問い合わせていただく)のでしょうが、お客様サービスも兼ねて調べてみました。まずはベテランの司法書士の知り合いに聞いたのですが、なんとそのベテランの方も今までやったことがないとおっしゃっていました!そんなに利用されてない手続きなんだとちょっと驚きました。この手続きの中で売り主であるお客様は登記に使う委任状を公証役場に持っていき、その委任状に公証人の面前で署名し実印を押印する必要があるのですが、私としてはこの委任状の書式を知りたかったのです。仕方がないので法務局に問い合わせてみると法務局も知らなかったようで追って連絡すると言われました。その後回答があった登記委任状の書式を後ろに掲載しておきますので参考にしてください。通常の委任状と違うところは、登記原因が年月日売買「予定」となっているところくらいです。たしかに売買の決済や抵当権の設定日より前に公証役場で手続きをするでしょうから、「売買」とか「設定」などのように過去あるいは現在のことを記載するような文言では問題がありますね。ただ、この書式はあくまでも山口地方法務局管内での話ですから、ほかの法務局でも有効かは不明です。もし、疑問なことがあったら管轄の法務局に問い合わせることをおすすめします。
なお、この手続きにおいては、実印、印鑑証明書、身分証明証を持参し本人確認を受ける人(権利証などを紛失した人)が直接公証役場に行く必要があります。