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国際相続は難しい
こんにちは。山口市役所近くで司法書士をしている山本崇です。
ここ最近、立て続けに相続人の方が海外に居住している相続案件を引き受けたので、これはきちんと国際相続について勉強しておかないと今後対応が難しくなると考え、専門書を購入して勉強を始めました。
まず、国際相続とは何ぞやということですが、亡くなられた方(被相続人)が外国籍の方であるとか、被相続人の方は日本国籍だけれども海外に資産をお持ちである場合、あるいは相続人の方が外国籍に帰化した場合などのように何らかの形で日本国以外が関係する相続のことをいいます。もっとも、国際相続という言葉は法律用語でもなんでもないので、これは私が勝手に考えた定義ですが、いろいろな専門書を読む限りでは概ね的を射た定義づけであると思います。
そして国際相続の難しいところは、まず、どこの国の法律を適用するのか、きちんと理解してから業務に取り掛かる必要があるという点です。例えば、外国籍の被相続人の方が日本に住んでいて、日本に不動産や預貯金口座などを持って亡くなった場合、日本の法律によれば、その被相続人の本国法(被相続人の方の国籍のある国の法律)によって相続の処理をすることになるのが原則です。
ただ、被相続人の本国法で、相続については被相続人の住所地の法律を適用するとなっていたら、まわりまわって結局日本の法律によって相続手続きを処理する事になります。すべての国が被相続人の住所地の法律を適用するとなっているわけではないですが、そのような場合のことを法律用語で「反致(はんち)」というらしいです。
また、相続に関しては、原則、被相続人の本国法を適用するけれども、不動産については不動産の所在地の国の法律を適用するという場合もあります。ですので、単純に国際相続といってもいろいろと複雑なので、どの国の法律を適用すべきかは入念に検討して取り掛かる必要があります。
そうして適用する法律が決まると、その法律に従って相続手続きを処理する訳ですが、結局、日本の法律を適用することになるのであれば普段行っていることなのでそれほど苦にはならないのですが、外国の法律を適用する場合にはその外国の法律について必要な知識を備えておかないといけない訳でそこがかなり大変です。もっとも、その国の法律をすべて頭に叩き込んでおく必要はなく相続手続きに必要な範囲で大丈夫ではありますし、中華人民共和国(いわゆる中国)、中華民国(いわゆる台湾)、大韓民国、アメリカの主要な州などの法律については日本語で書かれた専門書もあるので、ご依頼を受けてからそれらの書籍を参考にしながら進めていけばいいので英語や中国語などが堪能でないといけないということもないのですが。
とはいえ、来年1月からは当事務所ではフランス語対応をする予定にしていますので、フランスの民法などある程度の法律については、フランスから専門書を取り寄せてきちんと勉強しておこうと考えています。とにかくフランスのことについては、私は一切妥協したくありませんので。まあ、その分事務員さんには苦労をかけてしまうわけで心苦しいのですが。
いずれは英語対応もしたいのですが、アメリカの法律は各州によって異なっていることも多いため、それを網羅的に勉強するのは現実的ではないので、連邦法というのでしょうか、アメリカ全土で適用される法律を勉強しておいて、あとは具体的な相談があったときに各州の法律を確認するというのが現実的な対応だと思っています。
いずれにしても、これからは純粋な日本の相続手続きだけでは、いずれ対応ができなくなるだろうなというのはここ最近とても痛感しています。今後も自分の知識を常にアップデートしていかないといけませんね。