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外国在住の相続人がいる場合には・・・
こんにちは。山口市役所そばで司法書士をしております山本です。ゴールデンウィークも終わりました。ゴールデンウイークに限らず連休前はいつもワクワク感があるのですが、休みが終わってしまうととても名残惜しいですね。
ところで、今年相続の手続きでアメリカに在住している人とのやり取りがありましたので、そのことを少し書いてみます。ある方が亡くなられたのですが、その方名義の不動産の相続手続きをはじめ、預金の解約、年金の手続等相続の一切合切をお願いされました。不動産を含め亡くなられた方(被相続人といいます)の財産はすべてその配偶者の方に相続させるという遺言を書いていたので、その遺言を実現するようにしました。配偶者の方は山口市内に住まわれておりますので問題ないのですが、被相続人のお子様3人のうち2人がアメリカ在住でした。1月初旬に被相続人の方に深刻な病気が分かったため今のうちにということでアメリカ在住のお子様2人のうちのお一方が日本に帰国されました。その方自身はアメリカ在住で、すでに日本国籍を喪失していました。厳重な健康管理を施したうえで帰国できたようです。聞いたところによるとその方の配偶者はアイルランド国籍のアメリカ在住であるため日本に来ることはできないと言われたようです。実はその被相続人の方とその配偶者の方の遺言書作成は私が担当したのですが、今回はすべて被相続人の配偶者に財産を相続させる形となったため簡単でしたが、今度配偶者の方がなくなった場合は、今回相続した不動産を含めたすべての財産を換金したうえで、売却代金をお子様方3人に相続させるという遺言になっています。この手続きを取るためには、被相続人の配偶者が亡くなられた後、とくに不動産については、いったん3人のお子様方に均等に相続させたうえでお子様が売主となって売買による所有権移転登記を経る必要があります。このときにふと思ったことがあるのですが、売買による所有権移転の際に売主であるお子様方全員の実印の押印と印鑑証明書が必要となるのではないか?ということです。3人のお子様のうちお一人は日本に住まわれていますので問題ないのですが、印鑑という慣習のないアメリカに住んでいらっしゃるお二人についての実印と印鑑証明書はどうなるのだろう。いろいろ調べてみると、アメリカの公証役場(日本の公証役場にあたるものがアメリカにもあるらしいです)やアメリカにある日本の領事館で登記委任状にサインした際の署名証明書がもらえるようでそれを印鑑証明書として添付することで登記ができるということでした。ただ、私が手続きに関わった遺言書に遺言執行者として私を指定していましたので、実際には相続人であるお子様方のサインや実印などは一切必要とならず、私の実印と印鑑証明書で売買による所有権移転登記ができるということでした。
遺言書の作成は今後とも多くの人にとって必要で身近なものとなったきますが、その作成の際には必ず遺言執行者の指定をする必要があります。それがなければどこかの手続きで相続人全員の実印が必要となりますから、遺言書の内容に納得しない相続人がいると遺言実現がかなり難しくなります。また遺言執行者はある程度身動きの取れやすい方がいいでしょう。執行者をご高齢の方や外国在住の方に指定してしまうとその方の実印や印鑑証明書をもらうことがとても大変な作業となってしまいますから。
もし遺言書作成に悩まれたらいつでもご相談ください。