審査請求が認められるのは難しい②

こんにちは。さくらばたけ事務所の司法書士山本崇です。今回は、前回の続きで自動車税の課税処分についての審査請求について書いていきます。
審査請求の前に、中古自動車の買主を相手に起こした裁判ですが、裁判に勝訴して債務名義は手にしましたが、強制執行するには相手の財産を調べなければなりません。第三者がどこにどういう財産をもっているかを調べるのは、非常に難しいことです。とくに、この買主は山口県とは遠く離れた関西地方に住んでいるので、買主の自宅に行くだけでもかなりの時間と費用がかかります。財産調査に費やした費用は相手には請求できませんので、こちらの損害が大きくなります。相手が法人であれば、会社四季報や帝国データバンク等のデータバンクを調べると取引銀行が書いてあるので、取引銀行の支店のうち、その会社に一番近い支店の口座を差し押さえるとヒットする確率があがります。ただ、個人の場合はどうしようもないですね。山口県に住んでいる人が地元の地銀に口座を持っているとは限らないし、なんとか苦労して相手の預金口座を見つけたとしても残金がほとんどなければどうしようもないです。
今回の場合は、相手がアパートに住んでいたので(住所で分かりました)、アパートの敷金を差し押さえる方法を取りました。ただ、この敷金の差押というのもどれほど効果のあるものか不明な点が多いです。というのも、敷金を差し押さえた場合、実際に回収ができるのは入居者がアパートを退去した後になるので、いつ取立てができるようになるのか不明ですし、入居者の滞納家賃や原状回復の費用を差し引いた残金しか手にできません。家賃滞納が何ヶ月もあれば、それだけで差し押さえるものと敷金がなくなってしまいます。ですので、一応、依頼者にはあまりあてにできませんよとお断りはしておきました。
ところが、債権差押の申立をしてほどなく、第三債務者(つまり大家さん)から「中古車の買主は、このアパートの賃貸借契約の契約者ではない」との陳述書が提出されました。契約者でなければ敷金返還請求権も持っていないので差押は不可能です。仕方なく、差押の取下書を提出し、依頼者さんの損害賠償請求は基本的にあきらめる方向になりました。(つづく)

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