相続登記が義務化されます

こんにちは。山口市中河原町の司法書士山本です。昨日のブログで3回シリーズで相続の手続き等の流れについて説明すると書きましたが、今日はちょっとそれとは別のことを書きます。ブログタイトルにあるように相続登記の義務化についてのお話です。

今年の4月に民法と不動産登記法等を改正する法案が国会で可決され、4月28日に公布されました。今回の改正のメインは相続登記と不動産所有者の住所変更登記が義務化されるという点です。今まで不動産の登記については、登記をするかどうかは不動産を取得する人の意思に任されており、自分は登記しなくてもいいと思うのであれば登記はしなくても問題ありませんでした。それは相続の登記についても同じです。ところが、今回の改正では相続が発生して3年以内の相続登記を、不動産所有者の住所については住所移転から2年以内の変更登記を義務付けています。今までは本人の意思に任せていたのを義務化するということで180度方針を転換しています。さらに、それらの義務を果たしていないと場合によっては10万円の過料を課せられる事があります。今回の法改正は、今後いろいろな方面で影響が出てくるかと思います。

こうした改正が行われたのは、所有者不明土地の問題が背景にあったからです。不動産とくに土地の登記簿に記載してある土地所有者の住所、氏名を見ただけでは、実際の不動産所有者が分からないというのが所有者不明土地問題です。相続登記や住所変更登記は、今まではやってもやらなくてもよかったので、明治や大正、昭和初期に最後の登記がされて、それ以後は一切投棄がされていないため、登記簿上の土地の所有者が明治時代や大正時代の人となっていることが少なくありませんでした。また、住所変更についてもずいぶん古い住所のままとなっていて、その後住所が変わったのの手続きをしなかったため、その人が今どこにいるのか、もしその人に相続が発生していても、住所や本籍地が分からないため、戸籍をたどれず、相続人を探すことができないということが多々ありました。そうするとそうした人が登記簿の所有名義人となっているとその土地を取得したいと思っても、売り主となる人を特定できないため、取得をあきらめざるを得ません。そうした所有者不明土地の面積をすべて集めると九州全体の面積を超えるとの試算もあり、このまま何の対策も取らなければ、いずれ北海道の面積に匹敵することになるということです。

そこでこうした事態を何とかするために今回の法改正となったわけです。私が過去に依頼を受けた相続の手続きでも、何十年も前に亡くなった方の手続きを放置していたため、手続き終了までに非常に時間がかかったということが何度もありました。必然的にそうした手続きでは費用もかさむことになります。今後は相続登記や住所変更登記が義務化されます。正確にはあと3年後くらいから義務化されるので、それまでは放置していてもいいのですが、いずれにしても改正法が施行された後は、過去に発生した相続についても登記が義務化されますので、今のうちに相続手続きをされることをお勧めします。もし、相続登記、住所変更登記の義務化についてご不安なことがございましたら、一度私どもの事務所へご相談にお越しください。

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