生前贈与をするときの注意点

こんにちは。山口市役所ちかくで司法書士をしている山本崇です。

ときどき、私の事務所に、親御さんや配偶者の方が持っている不動産を今のうちに贈与したいという相談で来られる方がいらっしゃいます。いずれ相続が発生すれば、子どもや配偶者の方は相続人になるのでその時まで待って手続きをするというのでも構わないわけですが、中にはいろいろな事情があって今のうちに贈与しておきたいという相談者様もいらっしゃるのです。たとえば、相続での手続きだと相続人全員が関与して実印をもらわないといけないので、その時に相続人同士でもめると困るからというのも理由として挙げられます。ただ、この場合は、遺言書を残しておけばほとんどの場合は解決できるので、ご相談者様から生前に贈与する理由をうかがって遺言書で対応できるなと思えば、そのように案内いたします。もっとも、遺言書はあとから遺言をした人がいくらでも訂正できるので100%とは言えませんが。

生前に贈与する一番多い理由は、税金対策です。相続まで何の対策も打たずにいると多くの相続税を取られるので今のうちに生前贈与をして少しでもかかる税金を抑えたいという場合です。その時に利用されるのが相続時精算課税であったり、20年以上婚姻関係が継続している夫婦間での居住用不動産の贈与です。これらはいずれも贈与した段階では贈与税が課せられません。もちろん一定の条件はありますが。ですので、そういう便利な制度があることを知った方が相談に来られるということはよくあります。ただし、このいずれの制度も必ずしも万能かというとそういうこともありません。たしかに贈与税は課せられませんが、不動産の名義を贈与によって変更するときは、相続の場合よりも5倍も多くの登録免許税を納める必要があります。登録免許税は登記申請時に必ず納めなければならない税金で、相続を原因とした名義変更は割と低率となっていますが、贈与の場合だと高率です。これは国として税金を取りはぐれないようにしたいからそうなってるのだと思います。また、相続時精算課税にしろ、20年以上婚姻関係が継続している夫婦間での贈与にしろ税理士が関与する場合がほとんどなので、税理士に支払う報酬も考慮する必要があります。

こうしたいろいろなことを総合的に考えると、結局生前贈与するよりも相続を待ったほうがトータルでかかる費用は安くて済むという場合が割とあります。ですから、生前贈与を考えておられる場合は、ひとまず税理士に相談料を支払ってでもきちんとトータルでかかる費用を算出してもらったほうがいいと思います。そのうえでやはり生前贈与がいいとなれば私たちとしても全力でサポートいたします。わざわざ相続時精算課税とか20年以上婚姻が継続している夫婦間での贈与の特例とかが制度化されているわけですので、利用してお得になるケースは必ずありますので。

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