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相続登記義務化の影響?
こんにちは。山口市役所近くで司法書士をしている山本崇です。昨日、山口市ではかなりひどい雨が降りました。午前10時30分には避難勧告が出た地域もあります。そのせいだと思いますが、地域交流センターのサイレンがけたたましく鳴って驚きました。ただ、その後しばらくすると雨も小康状態となり、午後からは少し空が明るくなったと思ったら、雲が少なくなって日が照ってきました。そのせいで気温も上がり暑さよりも、ものすごい湿度にちょっと外に出るのもためらわれるような感じでした。もう少し梅雨は続くと思いますが、大きな災害などなく梅雨明けを迎えてほしいものです。
さて、いつも仕事とは関係がないことばかり書いていると、本当に司法書士なのかと思われそうなので、今回は司法書士業務に関係のあることを書いてみます。
今年の4月から相続登記が義務化されました。ある程度の猶予期間はありますが、ずっと以前に亡くなった方名義の不動産をそのままにしていらっしゃる方は、早めに司法書士にご相談されるなりされることをお勧めします。
その相続登記の義務化と関係があるのでしょうか、ここ最近、休眠抵当権の抹消をご依頼されるお客様が目立ちます。休眠抵当権とは、すごく簡単に言うと、明治時代、大正時代や昭和初期に、ある土地に付けられた抵当権(いわゆる担保権ですね)の登記が登記簿から消されずにそのまま残っているものをいいます。随分と昔のものですから、とっくの昔に借りたお金は返しているのでしょうが、お金を返したら自動的に抵当権が消されるわけではなく、その土地の持ち主の方が、抵当権を消す手続きをしなければ、半永久的に登記簿に残ってしまいます。登記簿に残っているということは、その抵当権を根拠に「お金を返してください」と債権者から言われてしまう可能性もあるということになります。
もっとも、そんな時代の方が今、ご健在であることはほとんどないのですが、だからと言ってその抵当権が無効になるわけでもなく、債権はその相続人の方が相続しているので、相続人の方から請求される可能性はゼロではありません。ただ、大昔に借りたお金なので、元金も数百円とかせいぜい数千円(その当時はそれなりに大金だったのでしょう)だったりする場合がほとんどですし、債権者さんの相続人の方もそんな抵当があるなんてほとんど知っていることはないでしょうが。ちなみに、貸したものは必ずしもお金とは限らず「米10俵」とか「馬1頭」とかの抵当権もあったりします。
要するに、実際に抵当権が残っていても債権者さんやその相続人の方から返済を請求されることはほぼなく、あったとしても数千円払えば済むことなので、あまり気にすることもないのが実情ではあります。とはいっても、その土地を売ったり、その土地に建っている建物を銀行からお金を借りて建て替えるようなときは、どんなに古い抵当権でも、債権額がどんなに少額なものであっても、消しておく必要があります。抵当がついている土地は売却の対象とならないことがほとんどですし、その土地を担保にお金を借りるときに他の抵当権がついていると銀行がお金を融資してくれないからです。ですので、土地取引の盛んな都会などにはこのような休眠抵当がついている土地はほとんどありませんし、山口でも市街地の土地にはやはり休眠抵当がついていないことがほとんどです。
いっぽう、山口市内でも中心部から車で30分~40分走れば中山間地域もあります。そうしたところでは、あまり土地の取引が頻繁ではないため、こうした休眠抵当権がついたままであることが多々あります。その土地を相続して、相続登記をしたときに初めて休眠抵当の存在に気付いて、それを消してくださいというご依頼になることがあるのです。今までは相続登記はしてもしなくてもよかったので、休眠抵当の存在に気付かなかった訳ですが、義務化されたことで、不要な土地を誰かに譲りたいから休眠抵当権を消してくださいとか、特段、誰かに譲る予定はないけど、相続した土地におかしな抵当がいつまでもついているのも気持ち悪いし、後々、ご自身のお子様やお孫さんが困らないようにと消される方もいらっしゃいます。あと、相続した土地を国に引き渡すことができる制度が昨年始まりましたが、この制度を使うときには、こうした休眠抵当権を外しておかないといけないため、国に引き渡すために休眠抵当を消すという方もいらっしゃいます。
このように、相続登記が義務化された影響から、ここ最近、このような休眠抵当権の抹消をご依頼される方が多くいらっしゃいます。もちろん、先に書いたように国に土地を引き渡す制度ができた影響もあると思います。
ほかに、それほど例は多くないですが、大昔に付けられた地上権という権利がそのまま残っているので、それを消してくださいというご依頼もたまにあります。
ご自身が中山間地域に相続した土地を持っている方は、相続登記が終わっているかどうか関係なく、一度、ご自身の土地の登記簿を確認してみるといいでしょう。その結果、休眠抵当権がついていても、早めに消しておけば、いざその土地を買いたいという方が現れてもすみやかにお譲りすることができますので。
逆に、放置すればするほど手続きは大変になり、その費用も高額になりがちです。
こうした休眠抵当を消す方法については、以前ブログにも書いたような気もしますが、興味がある方はネットで検索してみたら、どこかのサイトに詳しい説明が載っているのではないでしょうか。