こんにちは。山口市中河原町の司法書士山本崇です。

さくらばたけ事務所では、おおよそ1か月に1件くらいの割合で休眠抵当権の抹消依頼が飛び込んできます。休眠抵当権というのは東京や大阪などの都市部に住んでおられる方には馴染みのない言葉だと思いますが、山口のようにあまり土地の取引が活発でない地域では割とよくある案件です。具体的に言うと、たとえば土地の登記簿を見るとたまに、大正時代や昭和の初期に設定された抵当権や根抵当権が消されずにそのまま残っていることがあります。なかには明治時代の抵当権が見つかることも珍しくありません。令和になった今現在でのそれらの古い抵当権、根抵当権は有効なわけです。抵当権者は多くの場合一般個人で銀行が債権者である抵当権が残っているのは見たことがありません。

こうした抵当権が残っていると、その土地に銀行からお金を借りて家を建てるということができません。お金を貸す立場の銀行はたとえ古いものであっても抵当権などが残っている土地には融資をしてくれないのです。また、この土地を誰かに売ろうとした場合も多くの場合、不動産売買の契約には抵当権などの負担を完全に除去したうえでと明記してあるため、誰かに売って売却代金を得るという事もできません。ですので、その土地を売りに出そうとするときに、こうした古い抵当権などを抹消してほしいと司法書士に依頼されるのです。

さて、これは5月中旬のお話し。その日の業務が終わって家でまったりしていると、知り合いの不動産屋さんから慌てた様子で電話が入りました。「山本先生、ある土地の休眠抵当権を今週中に消してください!」そんな無茶な!だってその日は水曜日しかも夜の7時を回ってます。どの土地にどんな抵当権が残ってるのかも分からない。しかも、通常休眠抵当権は法務局の供託課と綿密な打ち合わせを行ってから供託申請を行うのを前提とするため基本的に1か月かかるという事をお客様に説明しています。あと2日で消すなんてどう考えても無理です。なんでもその土地の売買契約の決済がその次の月曜らしいのです。にもかかわらず古い抵当権が残っていることを見落としていたらしい。とりあえず土地の登記簿の写しをメールするように伝えて電話を切りました。まずは謄本を見てみないと。

届いたメールから土地の登記簿謄本の写しを開いてみました。今回の土地は周南支局の管轄。なので、供託も周南支局で行わないといけません。設定されたのは昭和7年、抵当権者は1人(都濃郡須々万村在住らしい)。債権額は数百円。利息と損害金の定めはなし。さいわいにこの土地にはもう一つ休眠抵当権が付いていてそれを消す手続きをするために閉鎖登記簿は不動産屋さんで取得済だったので(そのときに全部消したと思ってうっかりしていたそうです)、その写しもメールしてもらいました。閉鎖登記簿の記載から弁済期や特約などを確認。う~ん、いろいろ考えて、今夜中に供託申請書を完璧に仕上げて明日の朝イチで周南支局に事前審査をお願いしその日中にOKもらえたら金曜までに抵当権抹消申請は可能だな、と考え、不動産屋さんに電話で可能だと思いますと伝えました。正直不安ではありましたが。

実際に翌日朝一番に周南支局の2階に供託申請書を持っていきました。そして、事前審査をその日中にしてもらいたい旨、修正等はすべてファックス対応してもらいたい旨伝え、その日の午前中にOKもらいました。もちろん金曜日までには抵当権の抹消登記申請もしましたよ。

あまりこういう神経をすり減らす依頼は来てほしくないですけど、どうしても困ったときは思い出していただければ・・・