所有者不明土地管理制度とは

こんにちは。山口市役所近くで司法書士をしている山本崇です。今日は、所有者不明土地管理制度について説明しようと思います。

所有者不明土地管理制度とは、平成5年4月1日に施行された改正民法により創設されました。
都会などではあまり活用できそうにないかも知れませんが、山口県などの過疎化の進んだ地域では、土地の所有者が不明であることがわりとあります。

具体的には、ある土地の所有者を調べようとするときは、登記簿を取得すれば、その土地所有者の住所・氏名が記載されていますので、その方がその土地の所有者ということになりますが、その土地を買いたいと考えて、その住所宛に郵便を出しても、「宛所に尋ね当たりません」として送った郵便が戻ってくることも多々あります。

これは、もともとその土地の所有者さんが実際にその場所に住んではいたけど、その後、引っ越しをしたにもかかわらず、登記簿上の住所変更手続きを取らずに放置していたからということが理由の一つとして考えられます。他人の戸籍や住民票は正当な事由がない限り勝手に請求することができませんので、こうなるとどうしようもありません。

また、他の原因としては、その土地の所有者さんが亡くなって、その相続人の全員が相続放棄をしたという場合も、所有者がいないため、所有者不明土地となります。

こうした土地も有効に活用しようとして創設されたのが所有者不明土地管理制度です。ちなみに、同じ理由から所有者不明建物管理制度というのもあります。

ときどき、この所有者不明土地管理制度についてのご相談を受けることがあります。あまり具体的な内容は書けませんが、多くの場合は、その土地を手に入れたいという理由によるものです。
ただし、この制度はあくまでも所有者の分からない土地の「管理」をするための制度で、「売却」などを想定した制度ではないため、実際に所有者の分からない土地の購入を前提に所有者不明土地管理制度を利用する場合はちょっと注意が必要です。

まずは、所有者不明土地管理命令の申立てを地方裁判所に行います。その後、申立てが認められると裁判所が所有者不明土地管理人を選びます。基本的には、その管理人がその土地を管理することとなり、それで目的は達成されたということになります。

ただし、その土地の購入を考えている場合は、その後、所有者不明土地管理人に土地の売却許可を裁判所に取得してもらうことになります。先にも書いたようにこの制度は売却を前提とした制度ではないため、売却の許可がもらえるかどうかはかなり微妙です。それぞれの土地の事情によっても認められるか認められないかは異なりますが、私がおこなったものについてはいずれも売却許可をもらうことができました。

もし、所有者の分からない土地の購入を考えておられる方がいらっしゃいましたら一度、当事務所までご相談ください。

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