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過払い金返還請求の裁判をめぐって
司法書士として初の過払い金請求
消費者金融業者の対応
こんにちは。山口市のさくらばたけ事務所の司法書士山本崇です。今回は過払い金返還請求についてです。一時期かなりブームとなり、弁護士さんや司法書士さんがバンバン広告をおこなってましたから、みなさんにもおなじみでしょう。最近は下火となっており、どの弁護士さん、司法書士さんもそれほど力は入れていないと思います。
私は司法書士事務所を開業したのが、過払いバブル終息後でしたので、はじめから過払い金には力は入れていませんでした。ただ、今年1月に、あるご高齢者さんの成年後見人になったところ、その方の持ち物を整理していると、消費者金融業者のキャッシュカードがありました。ご本人さんは、すでに事理弁識能力がほぼない状態でしたので、事情は聞き取れなかったのですが、過払い金が発生しているのではないだろうかと思い、その業者さんに取引履歴を送るように郵便で送ったのです。
ところが、待てど暮らせど、業者さんからは何の音沙汰もありません。まあ、向こうとしても暇ではないでしょうから、多少時間がかかるのは分かります。また、業者さんによっては、意図的に取引履歴の開示に時間をかけるところもあるようですので、2ヶ月は黙って待とうと思っていましたが、取引履歴の開示請求から2ヶ月経過してもまったく連絡がありません。そこで、しびれを切らして、むこうの業者さんに電話をしたところ、すぐに送ります!との返事。そこで、遅くとも翌週には郵便で取引履歴が届くだろうと思っていたら、やはり送られてこない。これは舐められてるなと思って再度電話。今週中に届くようにすること、それができなければ金融庁に報告する旨を強い口調で伝えたところ、すぐに送られてきました。27枚にもわたる取引履歴がFAXで。
まさか、FAXで送ってくるとは思いませんでしたね。何しろ取引履歴にはたくさんの数字が小さな字で記載されています。FAXだと、文字が不鮮明になる傾向があるため、実際に見たところ数字の「5」と「6」が非常に判別しにくいです。まあ、とりあえずは送ってきたからよしとするかあと思って、それ以上のこと(たとえば、きちんとした書類を郵便で送ってくれ等のこと)は業者にはいいませんでした。
しかし、消費者金融業者というのは、なかなか一筋縄ではいかないところなのだなあ、というのが実感でした。
引きなおし計算をするのに約2ヶ月かかりました
やっと取引履歴を手にしてすぐに引きなおし計算を始めました。とはいえ、10年以上にもわたって借入、返済の取引が繰り返されており、ページ数で言うと全部で27枚あります。さらに、うちの事務所は従業員さんなんていませんから、私一人でやらないといけません。これ以外の業務もありますし、成年後見業務の一環としてやっていたため、どうしても対応が後回しになってしまい、結局全部の引きなおし計算を終わらせるのに2ヶ月近くかかりました。結果、過払い金は60万円以上発生していました。一応、引きなおし計算書が、取引履歴と違っていないかチェックして、業者宛に、過払い金を返還するよう督促状を送りました。引きなおし計算をする上で、数字の「5」と「6」の判読にはかなり神経を使いました。借入額あるいは返済額でこの数字があるときは、履歴の中の「利息充当額」と「元金」および「取引残高」を見比べて間違いがないか確認し、取引日にこの数字があるときは、履歴の中の「前回取引からの経過日数」を見比べて確認しました。過払い金返還の督促状には一応いつまでに返還しない場合は裁判を起こしますとの文言を入れておりましたが、その日付を経過してもやはり業者からはなんの連絡もありません。それでどう対応するべきかなあと考えあぐねておりました。すぐに裁判を起こすと、むこうが「今返還しようと準備しているところです」と言い訳をする可能性もあるので、一応督促状に記載してあった期限から1月経過しても連絡がなければ裁判しようと決めました。
あきれた業者の言い訳
もちろん、その1月を経過しても業者からは何の連絡もありません(まあ、うすうす分かってはいましたが)。そこで、訴状を作成し、山口簡易裁判所に提出、ちょこっと書記官から訂正を指示されましたが、すぐに相手に訴状は届いたようで、第1回口頭弁論の期日の知らせが裁判所からあった翌日に業者から、初めて連絡をもらいました。いわく「先生の作った引きなおし計算書に間違いがたくさんある。もう一度確認して欲しい」とのこと。ん?よく確認して作成したのに、そんなに間違いがあるかな?とも思ったのですが、最初だったので、とりあえず下手に出て、分かりました、確認しますと返事。すぐに再チェックをしたところ、間違いなんぞ一箇所もありはしない。これは業者にやられたなと思って電話してその旨伝えたところ、数字の「5」と「6」が間違えてるところがたくさんある。FAXを元に作ったから間違えたのではないかと言うではありませんか。そもそもFAXで送ってきたのは業者の方なのに!それに、こちらは十分に神経を使って間違いがないように作成し、チェックも十分におこなってます。もし、業者の言うとおり間違いがあるというなら、それは業者の方が答弁書内で主張立証すべきですので、「間違いはありえません!言いたいことがあるなら、すべて答弁書に記載して裁判所に提出して!」と言い渡し電話を切りました。
結局イチャモンをつけて時間稼ぎをしたかったのだろうと思いますが、こんなふざけた対応をする業者がいるというのは驚きですね。裁判が終わったら、金融庁と貸金業の免許を与えた監督官庁に情報提供をしておこうと思ってます。