こんにちは。さくらばたけ事務所の司法書士山本崇です。今回は、前々回にお話した製造物責任法(PL法)についての続きです。会社経営者は必見です。

PL法では、製造業者が製造、加工した製造物の欠陥について、製造業者に責任を負わせているのですが、それでは「製造物」とは何でしょうか。ここをきちんと把握しておかないと、自社で提供している商品がPL法の対象となるのかどうかが分かりません。

製造物と聞いて、すぐにイメージできるものというと、自動車であったり家電製品でしょうか。これらがPL法の対象の製造物となることは間違いありません。では、飲食店で提供される料理についてはどうでしょう。レストランで提供される料理については、おおむねPL法上の製造物と考えて間違いないでしょう。PL法の第2条では、製造物の定義として、「製造又は加工された動産」と規定しています。「動産」というのは、端的に言うと「土地及びその定着物」である「不動産」以外のものです。ですので料理はすべて動産になることは間違いありません。ただ動産のすべてがPL法上の製造物になるのではなく、「製造又は加工」されていなければなりません。ですので、農家の方が作った米や野菜そのものであれば製造物とならず、農家の方がPL法上の責任を負わされることもありません。ですが、レストランで提供される料理は、「加工」されていると言えますので、その料理に欠陥があり、消費者の生命、身体または財産が損害を受けた場合は、PL法が適用されることになります。

料理について、もう少し詳しく書きますと、PL法が制定される過程で政府委員が、一般的には煮る・焼く等の加熱、あるいは調味・塩漬け・燻製等の味付け、粉挽き、搾汁などは「加工」で、単なる切断・冷凍・冷蔵・乾燥などは「未加工」となると言う内容の答弁をしています。ですので、レストランで提供されるハンバーグであれば「製造物」であり、焼肉屋さんで提供される生肉は「製造物」ではないと考えられます。ただ、PL法上の製造物となるか否かについては判断の難しいものも多くありますが、この点については、法律が制定されてからまだそれほど多くの裁判例がないために、今後の判例の集積を待つしかないというのが正直なところです。

ちなみに、自動車メーカーや家電メーカーに部品を納めている下請けの企業であっても、その部品の欠陥によって完成品の自動車や家電製品が破損し、消費者が被害を被った場合は、その部品を作った企業が最終的な責任を負わされることになりますので、完成品を作っているメーカーではないからといって安心するのは早計です。